なつのはじまり。 ――――月宮あゆは、夢を見た。 舞い散る羽根と、どこまでも続く青の景色。 終わりのない空の中、立ち尽くすひと。 「………………悲しいの?」 たったひとつの問いかけに、答えは返ってこなかった。
――――神尾観鈴は、夢を見た。
遙か遠く、ひとり佇む彼女の姿。 神奈備命が其処にいる。何処にもない何処か、空の檻に。 「………………まだ、終わらないんだね」 空の少女は微かに、横顔のまま頷いた。 二人は夢の在り処を探し始める。 長い時の果てに辿り着いた、願いを叶えるために。 なつのおわり、そして、ゆめのおわり。 |