思えば『ひとかけらのぬくもり』を書き始めたのは、今から四年以上も前のことです。
読み返すとあまりの拙さに色々投げ捨てたくなりますが、この頃から私の『私らしさ』というものはできていたようにも感じます。
一話一話の量こそ少ないものの、ほぼ毎日書き続け、およそ八ヶ月掛けて完結させた、私としては初の長編。
それまで中編程度(今見ると全部合わせたって短編レベル)しか書いてこなかった私にとっては、かなり大変なことでした。

でも、まだ覚えてるんです。
プロットを思いついた時の、あの高揚感。
霧ノ埼という舞台を考える楽しさ。そこに住む人達を見つける面白さ。
おおまかな物語の筋は、連載を始める頃にはほとんど組み上がっていましたし、何より日々わくわくしてました。
次はどうしよう、こんな感じだろうか、彼らならこういう風に行動するだろうか。

長い時が経っても、私の中で彼らは生き続けています。
昔と少しも変わらず幸せそうな笑顔で、元気に毎日を過ごしています。
けれど、四年の間で、私の技量は明らかに向上しました。

今なら、もっと彼らをしっかり書いてあげられる。

他の連載がある程度落ち着いた時、私の脳裏に突如現れたひとつの選択肢。
それこそが、ひとかけらリメイクなのでした。

ということで、おそらく読んでいる方は皆無かと思われますが。
『ひとかけらのぬくもり -Re:warmth-』一年目、ここまでお楽しみいただけたでしょうか。

これは、星見堂という古本屋を経営しつつ日々まったり生きる青年、鈴波信一を中心とした、霧ノ埼に住む人々のおはなしです。
他にも色々な人が現れますが、それぞれに小さな問題を抱えていながら何食わぬ顔で信一くんと出会っていきます。
誰が何と言おうと今作のヒロインである星宮陽向嬢は些か都合の良過ぎる女の子かもしれませんがツッコミは無しの方向で。
具体的な話は全部終わってからにしたいと思ってますが、いつになるかはわかりません。まだ三分の一。
『こころ、ここに』と並んで作者の愛が大量に詰まったおはなしですので、ゆっくりしっかり書いていきたいのです。

さて、二年目。知ってる人には言う必要ないかもしれませんけど、冬はシリアスです。
酒好きな宴会の首謀者、白坂蒼夏さんと、信一くんのバイト先の頼れる先輩、田中大樹さんの話。
そこから春、夏と来て、二度目の波、雪草のお二人さんの話になります。
でも本筋は相変わらずの『何でもない』日常なので、これで面白くするのは、下手に波作るよりも難しいかもしれませんね。

まあこんなもので。
よろしければ感想激励その他諸々、お待ちしております。
……一次創作って本当に読まれないんですよ。割と切実。

ではでは、なかがきはまた二年目で。





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