そもそもの発端は『シュレリア様の以下略』を書いている時でした。
 ミュールが加わって、シュレリア様を煽るための勝負を始めようと言い出した瞬間、もしかしてここからルート分岐するんじゃないか、と思ったのです。
 結局その時は妄想に留まり、『シュレリア様の以下略』が完結するまで形になることはなかったのですが、何だかんだで抑えきれずに連載を始め、そして一度途中で投げ出しました。
 プロットが甘くて、展開に詰まったんですよね。
 それでしばらく他のジャンルに掛かりきりになって、長い間放置していたわけですけど。ある日、ふと「またプロット練れば書けるかもしれない」と。
 そうして再構成したプロットは全部で20KB超えて、でも実際に書いてみた結果、半分くらい参考になりませんでした。完結できた今となってはちょっとした笑い話です。

 ということで『ミュールIFルート』、如何だったでしょうか。おおよそ三年半越しの完結です。ここまでお付き合いいただいた全ての方に感謝を。
 振り返ってみればかなりやりたい放題で、原作準拠なところと「原作は投げ捨てるもの(キリッ)」なところが変に混ざった話になっちゃいましたけど、まあ、一応「ミュールの物語」としては及第点をあげたいです。自分に。
 思えば当初は「これ本当に読む人いるのか……」みたいな感じで、一回止まった間に2が発売されて母さん攻略対象になっちゃって、某掲示板に投稿したら別の某所で「何で投稿したのかわからない」とか言われるし、そもそもマイナージャンルな上にCPが(結果的には)公式に真っ向から反逆する形になって、もうズタボロでした。
 それでも続けられたのは、こんなニッチ過ぎる話でもいいよと言ってくださった読み手の皆さんのおかげであり、何が何でも絶対完結まで持ってくぞ、という意識を持てたからです。

 メタ・ファルスへと旅立った三人は、だいたい本編準拠な流れで2のストーリーにも絡んでいくことになります。イレギュラーたるライナーはミュールと裏でコンビを組んで、何故か隠す必要のない正体を隠すために真っ黒な鎧と似合わない仮面を被ったりするんですが、ちょっとこっちにリソース振れる余裕はないので、続きを書くことはないと思います。自由に妄想していただければ。
 時間があればライナーとクロアのガチ模擬戦くらい書きたいところですけど、予定は未定です。うん。


 ついでに『EXEC_RISONANCIA/.』の解説も少し。
 どういうものかっていうのは某所の補足注釈で散々語っちゃったので、自サイト版の演出に絡むところを。
 見た目通りですけどパートは色分けがしてあって、黒がミュール、灰色がシュレリア様、青紫が二人一緒になってます。
 配置もテーブル(表作成のタグ)で調整して、重なるところは左ミュール右シュレリア様って感じで。
 ヒュムノスパートはフォント変更してますので、PCにヒュムノスフォントが入ってる人はそっちで表示されるはずです。ちなみにヒュムノサーバーに文章ぶち込んで「ヒュ→和検索」をすると、文章内の単語の意味が全部表示されるんですけど(ただし想音以外の頭文字が大文字だと反応しないので、そこは小文字に変えなきゃいけない)、全体的にかなりの超意訳です。自分で単語作れる制作側はずるいよなあ、とw
 当初はここに「世界中のレーヴァテイルの応え」が混ざる予定でしたが、その作業量も入れたら死ねるので諦めました。
 ぶっちゃけコンセプトはファンタスマゴリア+合体メタファリカ。
 本編抜いた歌詞は以下に掲載しておきます。大したものじゃないですが。



Was yea ra murfanare chs hymmnos, fountaina ciel. わたしの想いは詩となり、世界に響く

籠の中の小鳥 空を知らず


謳うために 啼き続ける


Sarla valwa, sarla ieeya, 浄化の詩を 希望の詩を

Wee ki ga yehar yor zeeth. 貴方の鎖を私が解く

籠の中の小鳥 世界を知らず


謳うだけが 彼女の全て


Yorr vianchiel en houd zadius walasye, 無垢故に貴方は人間を憎んだ

gauzewiga en hartes oure walasye. 誰よりも人間を愛していたからこそ絶望した


いつしか小鳥は 詩さえ忘れた

たったひとり 取り残されて



Yorra whai cenjue polon anw mea? どうしてみんなわたしをひとりにするの?



Was yea ra messe yor, ならば私は貴方に伝えよう

her ciel fountaina sarla en infel, 詩が、愛がこの世界には満ち溢れていることを

van yor hartes re waats hes. 貴方もまた、大切な人に愛されていることを



Alroetsue kierre iem. 今こそ贖罪の時




Wee jyel ga enerel firle nozess fwal, この翼は失ったものだと、ずっとそう思っていた


slepir etealune biron ween shellan. 永遠に籠の中で眠り続けるのだと
高い高い塔の上 人の至らぬその場所に

鎖された籠の小鳥がいた

自らは外にも出られない

萎えた翼で 窓の外を見る



Yorr yerwe sik pitod mea, 一緒に飛ぼうとあなたは言うけれど

Fou touwaka wa sonwe na sarla en famfa na ciel, わたしは謳うことも、羽ばたくこともできない

den yor, yehar anw mea elle shellan? それでもあなたはわたしを連れていってくれるの?
ある日外から 一話の鳥が訪れた

いつか聴いた小鳥の詩を

もう一度謳ってほしいと

白い翼で 窓の外に立つ



Na orviclle, pilt hopb. 大丈夫、さあ勇気を出して


Was zweie ra irs mea pitod yor. あなたはひとりじゃない
Was yea ra irs mea pitod yor. わたしはひとりじゃない



錆びた扉を開ける音 広げた翼で羽ばたく小鳥

優しい籠に 別れを告げて 高い空へと 自由を謳う


Briyante! 歓喜の声を!


小鳥は 生きている

世界と 共にある


Faura crushue murfanare willie hynne, 枯れた声で、小鳥は想いを紡ぐ

wearequewie yehah Metafalica. それは幸せを願う希望の詩

Faura endia sarla en werlwe titilia. 謳い終えて、小鳥は静かに涙した

Was yea ra knawa wael forgandal melenas vianchiel ciel. この美しい世界を愛していると知ったから

Presia rete na murfanare. どうかその想いを忘れないでいて

Was yea erra afezeria hartes omnis. わたしの愛する全てのものに祝福を!



 制作に時間掛けただけあって、シュレリア様の以下略の時より見栄えだけはいいんじゃないかと思います!
 文法とか間違えてる可能性は無きにしも非ず……どころかかなり高い気もしますが。
 ちなみに詩の想いはほとんど歌詞のままなので書きません。言うまでもないでしょうけど、ミュールの境遇の暗喩です。
“小鳥”をミュールが、地の文をシュレリア様が担当してる、みたいに捉えてもらえればいいかなと。

 私は、どんな未完成の傑作よりも、完成した凡作の方が価値はある、と思っています。
 少なくとも自分は、事情と時間が許す限り連載を完結させるようにしたい、とも。
 だから、この物語はそういう意味でも、とても恵まれていたのでしょう。
 完成に足る余地があり、それを見守ってくださる方もいた。有り難いことです。
 最後の最後まで見ていただき、ありがとうございました。
 読み手の皆さんと物語の中の彼女達に、希望の詩が届きますように。



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