ということで、『君が本当に願うもの』これにて終了です。
結局たかが十話に一ヶ月ちょい掛かりましたがお付き合いくださった方、ありがとうございます。

人物設定だけは随分前からありました。
この五人に関してはおよそ四年前から。今よりも曖昧な部分は多かったですけど。
基本的に、彼らが所持しているのは"心"の力です。
まぁ、静雨さん以下三人はすぐわかるでしょうけど、蘇芳くんと真希さんはわかりにくいと思います。
過去と未来。要するに、このふたつは"世界の心"なのですよ。
例えるなら過去が思い出で、未来はもしもこうだったら〜、という想像。現実に基づいた可能性。
いえ、与太話でしかないですが。この調子で実に意味深な設定ばかり。申し訳ありません。

テーマとしては、タイトル通り『願い』。彼らの願いにまつわるおはなし。
あまり語り過ぎると言い訳がましくなるというか、正直面倒なので省略します。

ちなみに話の構成は以下のような感じ。


 1.ある寂れた診療所内の日常
ぷろろぐですねこれ。軽い設定消化。
極彩風景で静雨さんと鈴さんは知ってる人もいるかと思うので、その辺も撫でる程度に。

 2&3.その手で失われたもの
この話大好き。特に猫を〜の一連。
内容思いついた時は、やった、と思いました。こういうエッジの効いたのはなかなか書けないのですよ普段。
代替行為。もしくは、子は親を見て育つ。報いってあるんですよね。

 4.浅葱蘇芳の災難
過去語りそのいち。ついでに未来視の設定消化。
だいたいは静雨さんの仕事絡みのことを夢に見ます。ちょっとだけ役に立ったり立たなかったり。
ちなみに、確定していない未来、というのがポイント。努力次第で変えられないこともない。でも無駄になることも。

 5.心の定義
過去語りそのに。霧人さんお目見え+設定消化。
重要な部分もさり気なく。時期的にはここここよりも少し後って感じ。
ひとかけらくらいの時にはもう完成してます。名前とか付けたりして。

 6.鼠が猫を噛むために
二、三話での噂の元となった話。
本当は死ぬ勇気なんてなかったのかもしれません。でも、何かの拍子で死んじゃえたりするのですよ。人間って。
タイトルのまんま、窮鼠猫を噛む。兎が相手でも獅子は油断すると痛い目見るんですよー。

 7.押入れの奥の宝箱
過去語りそのさん。真希さんお目見え+設定消化。
何かフラグ立ってるんだかどうなんだかよくわからないですが、まあ好意的かもですね。どっちが?
ちなみに小ネタは島みやえい子さんの『スカラベの祈り』より。てーには、すかーらべそれはえいえーんをー。

 8.今あなたが見ているのは
過去語りそのよん。極彩風景の補完にもなってます。
時系列的には十話の中でも一番後。そもそも極彩風景自体がひとかけらのちょい後なので。
やりたかったことは実際ここで済んじゃったような。

 9.君が本当に願うものの形
魔法使い登場。彼女が最も意味深な台詞をばらまいた人。
ひとつの答えを提示しようと思いました。同じ"願いを叶えるもの"として。
結果として彼女の問いが静雨くんを後押しする形になってます。タイトル的にもある意味この話で締め。

 10.はじまりはおわりへつづくみち
なのでこれは蛇足に近いかもしれません。最後の過去語り。
永遠に生きるのは正直死ねないけど死ぬほど大変、かも。はっきりと断言できないのは私が経験できない事柄だから。
重要なのは、それでも為し得たい何かがあるかどうか。『彼』の最後の言葉が答えになっている気もします。


それと、五人の行動原理も列挙しておきます。
本編読んだだけでは不明瞭な部分が多々ありますし。親切心ないなぁ。
あ、ちなみに彼らは互いに対して力が無効化されます。同系列だから? その辺不確定。いいのか私。


・神海静雨
記憶、思い出、その個人を形成する想いを視ることのできる力を持つ。それを意訳すると"心の闇"。
彼の前に本心は隠せないですし、当人が自覚してないこともわかったりします。
そこを的確に突いて助言することもあれば、そっと背中を押すことも。
「救われたい」と願う人しか誘い込めないなんて条件がありますが、まあ仕方ない。押し売りは趣味じゃない。
おそらく自分の力を誰かのために使いたい、できることをしたいと最も考えてる人。不器用ですが。

・倉宮鈴
表層思考、つまり今他人が考えてることを情報として取得する(読む、ってニュアンスが一番近い)力を持つ。
上辺だけの取り繕いをしても即効でバレます。陰口とかも駄目。その場で考えてればわかっちゃう。
彼女もそうやって他人の嘘を見抜いて、思考から悩みなどを推測し、手を貸す、ってことを繰り返しつつぶらり一人旅。
静雨さんより汎用性高いですが、広く浅くといった感じ。あまり深くは踏み込めない。彼の次に足掻いてます。
わかりやすく静雨さんに好意を持ってたり。不器用だからフォローしてあげたくなるそうで。

・緋神霧人
ぶっちゃけサトラレ。自分の表層思考を見境なく周囲にばらまく力。
壁とか関係ないです。単純に半径なので、対策は人を寄せつけないか何も考えないこと。
でも慣れると喋らなくてもいいので一番有効活用してる人かもしれません。めどいー、って。
プログラマーな彼は日々人格作りに励んでます。キーパーソン。"呪い"を解く鍵。
会社の人達には好かれてました。敵の少ない人。割と気遣い上手いですよ?

・浅葱蘇芳
未来視。その時点で最も起こる確率の高い事象を明晰夢で見る力を持つ。
そのせいもあってか苦労人です。悩まなくてもいいようなことに悩んだり。
世話好きなのも一因? 家事大好き。汚れがあれば掃除したくなるし洗濯物も干したくなる。
「未来なんて知らなければよかったのに」→「知っちゃった未来を役に立てよう」とプラス思考に。
週に一度ほど買出しに出かけてます。結構力持ち。手足は細く見えるのに、と鈴さんに嫉妬されてることは本人気づかず。

・冬野真希
過去視。空間に蓄積された情報を任意に閲覧できる力。唯一リスキー。
忙しい人です。あっちに行ったりこっちに行ったり。おっそろしくアグレッシブでがしがし動きます。
遺跡調査をしてるのは、自分達のような人間が過去にもいたかどうか、その辺を中心に調べるため。
いやだって、怪しげなところには怪しげなものが集まるんじゃないですか? ……どうだろう。
体力抜群、喧嘩上等。でも淑女。蘇芳くんに持っている好意は四割くらい弟相手、みたいな。残り六割は名言しません。


えぴろぐ的なのは敢えて書きません。
あ、でも、非難轟々だったら作るかも。本当に小さいの。

間違いないのは、これからも馬鹿みたいに真っ直ぐ、五人は頑張っていくんだろうなぁ、ってこと、かも。しれないです。

もし、運命なんてものがあるにしろないにしろ。
きっと全ての物事には、何らかの意味を、価値を見出すことができるはずです。


ということでここまでお疲れ様でしたー。あとがきに6KBちょいって相変わらず馬鹿か私。