「ライナー」
「何だ?」
「どうしてわたしはこんなところに連れてこられたのかしら」
「いや、ちょっと二人でここにあるカンペを読んでくれって頼まれたんだけど……」
「だったらシュレリアでいいじゃない。ライナーと二人きりだって言えば、あの子喜んでやるわよ」
「ミュールじゃないと駄目なんだってさ。今連載してる話のメインなんだし」
「平然とメタな会話が出てくるのね。……まあ、今は他にすることもないから、付き合ってあげるわ」
「本当に素直じゃな痛ぁ!」
「あなた、そんなわたしに脛を蹴られるのが好きなの? なら毎日そうしても構わないけど」
「んなわけないだろ……! つーか何でお前は事ある毎に俺の脛を狙うんだ!」
「だって蹴りやすいんだもの」
「……始めるぞー」
「どうぞ」

「実質、今年はあんまり表立って活動してないみたいなんだよな」
「みたいね。更新履歴なんて十二行しかないじゃない」
「一月一回ペースか。微妙に頂き物の更新とか混ざってるし」
「単純に筆が遅くなったのもあるけど、外部での活動が増えたから……ってことらしいわよ」
「ま、とりあえずひとつひとつ挙げていこうか。まずは日向の虎さん開催の『ドキッ名無しさんだらけのリトバスSS祭り』」
「凄まじいネーミングね」
「参加者が匿名で作品を投稿して、後でどれが誰のものかを当てるって企画だな」
「十八人が三グループに分かれてだから、ある程度は誰でも絞れそうなものだけど」
「全問正解した人はいなかったんだっけか。ちなみに作者は一番多く当てられた。全く隠せてなかったそうで」
「隠す気もなかったんでしょ。他にもそういうのは何人かいたけど、ピンポイントで狙われたのが決定打ね」
「で、一番多く当てた参加者のスネークさんに、罰ゲームとしてリクエストされたのが『おでかけ日和』って短編」
「実は今まで、あの姉妹の話は表で書いてなかったのよね。前に出した同人誌を除けば、ではあるけれど」
「もう八年もやってると、リクエストを受ける機会なんてほとんどないらしいからなあ」
「その後は些か迷走気味……と言えばいいのかしら」
「三つある連載物のうちの二つ……『ROOM NO.1304』と『ひとかけらのぬくもり』リメイク版。どっちも一回更新してそれっきりだな」
「そもそも三つも連載抱えて回せてない時点で、無計画にも程があるわ」
「並行して進められる人も世の中にはいっぱいいるけど、元の速度が速度というか」
「結局わたし達の話に集中することに決めたのよね」
「『Arcadia』って大手の投稿サイトにも出して、半年の間に七話分くらいは更新できてるんだよな」
「ま、ペース的には辛うじて及第点あげてもいいんじゃない?」
「一応他にも色々やってるしな……。本格的に連載消化する前には、化物語の二次創作をひとつ仕上げてる」
「見れば見るほど頭の悪いタイトルね。『つばさブラジャー』って。中身も随分だったけど」
「でも意外に好評なんだよなあ。アニメ化の影響もあるんだろ。『着物語』は今でも感想来るみたいだし」
「いつオフで出すのかしら。いい加減みんな忘れてるでしょ」
「売れなくてもいいって気持ちで考えてるらしい。この調子だと来年以降になりそうだ」
「気の遠い話ね」
「他にあった大きなことは、Rodmateさん主催の『K2C Petit Festa 2010』と、あとは『リトバス草SS』が最終回を迎えたことか」
「前者は悩んだ挙句短いのみっつまとめてお茶を濁したのが丸解りだわ」
「それでもそこそこの評価はもらってるんだから、まあ悪くはなかったってことで」
「後者は……最後の最後があんなのとか、血迷ってるとしか思えないんだけど」
「結局一度もMVPは取れなかったしな……」
「過ぎたことを悔いてもしょうがないでしょ」
「確かに。ちなみに草SSと言えば、冬に合同で本を出してるんだよな」
「他の参加者がシリアスにまとめてる中、ストレートにエロ一歩手前のを提出した辺り、逆に空気読めてないわよね」
「それでも周りが濃くて、可もなく不可もなくって感じで埋もれてるのがすごいというか」
「あとは何かある?」
「『スゥとミヤネ』って短編集を出してる。タイトルの二人しか登場しない話なんだよな」
「いちゃいちゃするだけの話ね。これが“普通”かと言われると首を傾げるけど」
「こっちは続けられる限り追加してくらしい」
「気晴らしも兼ねてるみたいだから、煮詰まった時には増えていくんじゃない?」

「――去年の話はこんなところだな」
「ここからは今後の予定ね」
「ひとまず『ミュールIFルート』は終わらせるつもりだそうだ。もう折り返しは過ぎてるし、何とかなるとは思う」
「それが片付いたら、残りの連載に手を付けることになるのかしら」
「他に物凄く『書きたい!』ってものが出てこなければそうなるだろうな。ただ、年末から忙しくなるかもしれない」
「水面下で動いてることについては、時期が来たら、って流れになるわね」
「夏にも発表できるものがあるっていうし、まだまだ活動停止する予定はないみたいだな」
「八年なんてあっという間ね。けれど、それだけの時間が過ぎたってことでもあるわ」
「一日一日、大切にしていかなきゃな。さて、全部読み終わったし帰るか」
「ええ。戻ったらわたしが寝る前に部屋に来なさい」
「わかってるって。そっちが眠くなるまでは付き合うよ」





 長いようで短い八年間。これからもやれるところまでは頑張ります。



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