現在真面目に授業中。 耳に聞こえるのはペンがノートの上を走る音と教師の声だけ。 なんだかすごく"勉強"しているって感じ。 …………本当だよ? 別に何の他意もないよ? 間違ったって昨日商店街で見つけたたい焼きの懐かしい味を想像してたわけじゃないからな? なんて、高校時代とあまり変わってない俺だった。 "まい"のいる生活。 -6- 勉強なんてできなくても卒業できる(4話参照)と知ってしまった以上、どうもやる気が起きなくなった。 元から気力が空回りしていたという意見もあるが、そんなもの相沢祐一脳内最高評議会にて満場一致で却下だ。 ノートなんて真っ白。いや、白いならまだマシだろう。暇すぎて落書きだらけで埋まってしまっている。 …………今度北川にでも見せてやろうか。結構力作だと思うんだけどな、コレ。 授業に集中するつもりは最初からなく、今は一人バトえん(バトルえんぴつの略。流行らなかった?)中。もったいなくて鉛筆として使えなかったよなぁ。 …………………………不毛だと気づいて止めた。 悠久にも思える授業が一応終わりを告げ、皆が席から立ち上がる。 俺も重い腰を上げようとしたその時。 「……あー、テステス。聞こえてるー?」 「大丈夫みたいですよー」 「よし、それじゃ…………放送室は我々が占拠したー!」 「…………したー」 ……………………めちゃくちゃ聞き覚えのある声だった。 っていうかまいじゃん。後ろから聞こえてきたのは舞と佐祐理さんじゃん。 「――――――――――――――― あいつらはーっ!」 全速力で放送室へ急いだ。 俺…………きっと、風になれたよ。 息も絶え絶えに、現在放送室前。 ゆっくりとドアに手を掛ける。 がちゃっ。 酷くあっさりと開いた。 念のため、慎重に足を踏み入れる。 「あ、来た来たー」 「祐一さん、早かったですねー」 「…………コースレコード」 三者三様の発言。……いや舞、ピントがずれてるぞ。 「…………舞、佐祐理さん。……何やってるんですか」 「そんなの見ればわかりますよねー?」 「……放送室ジャック」 予想通りの台詞に閉口。 何というか、俺はわかりきったことを聞いたわけじゃないんだけどなぁ。 ちょっと混乱気味の俺を尻目に、まいは放送器具を弄りながらまだテストしている。 ……とりあえず一発殴っといた。 「いったー…………こないだといい今回といい、もうちょっといたわってよねー」 「無理」 「即答っ!?」 即答してやった。 今、常識外のこいつの暴挙を止められるのは俺しかいないっ! と意気込んでみる。 「なぁ、まい…………どうしてこんなことをした、ええ?」 「痛い痛い、アイアンクローは止めてってギリギリ音してるからっ!」 ばたばたともがくまいを無視して、右手に渾身の力を込める。 これくらいではこちらの恨みが消えるはずがない。 もっと強く、さらに握る力を増やす。 「あのー…………祐一さん?」 佐祐理さんが出てきた。 今こいつのお仕置きしてるから、話はまた後でお願いします。 「…………電源、入ってますよ?」 「……………………筒抜け」 痴態を晒したのは俺の方だった。 「佐祐理さん、気づいてたんなら言ってくださいよ…………」 「それじゃ面白くないじゃないですかー」 「気づかない祐一が悪い」 …………………………俺、やっぱり遊ばれてるのかなぁ。 もう六話……頑張ったなぁ、私。ということでゲストどうぞー。 佐祐理「皆さん、お元気ですかー?」 たぶん元気だと思う。こんなモノ見てるんだし。 佐祐理「それもそうですねー」 いや、そんなにはっきり言わないで………… 佐祐理「だって、コレを見てるってことは暇を極端に持て余しているってことじゃないですか」 まぁ、そうだけど。駄作だし。 佐祐理「自分を卑下してたら先に進みませんよ」 あぅ、そやねー。ということで、今回は放送室をノリでジャックしてみました。 佐祐理「発案はまいさんですよー。佐祐理は面白そうなので乗らせていただきました」 この話のテーマのひとつとして、如何に祐一くんを困らせるかってのがあるくらいだからね。 佐祐理「祐一さんが困っている様を見るのは楽しいですよ。驚いた顔は可愛いですし」 あと、まいにはしっかりはっちゃけてもらいます。…………ごめんね舞、ちゃんと出番は作るからっ。 舞「…………しっかり書く」 はぅっ、いつの間に背後にっ! っていうか剣を構えるのはやめてー! 舞「……………………(斬)」 佐祐理「作者が退場したのでこの辺で終わらせていただきますねー。それでは皆さん、また次回でお会いしましょう」 舞「………………さようなら」 いやアレ、マジで洒落になんないって………… |