先に言っておくが、勉強は嫌いだ。
授業を聞いていると眠くなる。教師の言葉ひとつひとつが、ぐわーっと睡眠欲を引っ張り出してくれる。
冗談抜きで、授業は睡眠時間確保のためにあるといっても過言ではなかった。……少なくとも、高校生までは。



現在大学一年生。
かなり本気で、しっかり真面目に勉強中である。

「じゃ、授業始めるよー」

……………………ねぇ、今度は何デスカっ!?




















"まい"のいる生活。 -4-




















教卓っていうのは、だいたい80cmほどの高さがある。
平均身長の男性教師が教壇に立つと、腰から下は教卓に隠れ上半身をこちらに目視させるのだ。

「うーん、うーん……しょ、っと」

あそこに立っているのはまいだ。
まいの身長はせいぜい120cm。どう考えたって、ほとんど頭が出ない。
実際、必死に登って教卓の上に立っているじゃないか。



……………………………………って何であそこにいるんだあいつはーっ!



席を立ち超速でダッシュ、教卓の上に乗って満足そうにしているまいの腕を掴み、電光石化のスピードで廊下に連れ出した。










「何でお前はあんなところにいたんだよ」
「え? そりゃー、楽しいからに決まってるでしょ」

初っ端から頭の痛くなるような返答。
というか、教員免許もない人間が授業なんてできるのか?

「佐祐理が平気だって言ってた」
「あの人は…………」

元凶は佐祐理さんらしい。
……そういえば言ってたな。
「あの学校は佐祐理が掌握しましたよー」って。


…………………………もう、何やっても卒業できる気がしてきた。


今まで本腰入れて勉強していたことが馬鹿らしく思えてきたが、それはそれだ。
とりあえず訊くことがある。

「なぁ、まい。授業………………できるのか?」
「無理」

即答ですか。即答なんですか。

「でも、ひと騒ぎ起こすことはできるよ」
「止めてくれ」



それ以上やると俺が泣くから。





十分ほどの話し合いの末に、まいが授業をすることにした。
教壇に立つちび(ここ強調)まい。どことなく、教師独特の威厳を感じないわけでもないと思う。いやごめん嘘。無理あった。
荘厳な空気の中、まいが口を開く。ゆっくりとした動作で発せられる、第一言は……

「自習」

っておひ。





結局、その後の授業を全て自習にしてからこちらに飛んできたまいと、学校での時間を過ごすことになった。
昼に佐祐理さんに会ってコトを問いただすと、

「これくらいで驚いてもらっては困りますよー」

となにやら意味深、且つ恐ろしい発言をしてくれた。










佐祐理さん、あなたは俺で遊んでるんですよね? そうですよね?











さて、今回から三人交代で出てきてもらいます。今回は――――――

まい「おぃっす、みんなのまいだよー」

アホ言うな。ドタバタ担当が何をのたまうか。

まい「書いてるのあんたでしょ」

う、それを言われると反応に困るんだが。

まい「だいたい、ちょっと"何でもアリ"にも程があるんじゃない?」

だって、それくらいしないと暴れたい放題できないじゃん。

まい「佐祐理はどれくらい学校を掌握してるの?」

全部。卒業資格だって学年だって、学食だって思いのままさっ。

まい「あ、それは魅力的だねー。限定メニューも頼み放題♪」

んな台詞は放送禁止よ。むやみにそんな発言したら殺られるからね。

まい「大丈夫だって。佐祐理のエージェントはいつでも傍にいるから」

……あれ、そんな設定あったっけ(汗



ではでは、この辺でお開きにしますか。

まい「えー、まだまだ喋り足りないのにー」

三週待て。あ、次は舞だからねー。

まい「じゃ、次もよろしくお願いね、みんなー」





もうのっけから不安だなぁ……