一年、経っただろうか。 俺は無事に高校を卒業し、大学の合格も決めた。 何処の大学かというと、言わずもがな。舞と佐祐理さんが通っている所だ。 大学入学と同時に、俺は水瀬家を離れ舞達のアパートに一緒に住むことになった。 せめて高校を卒業するまでは此処にいてください、という秋子さんの言葉。無下に断るわけにもいかず、またひとつの"区切り"を迎えるまでは自重しておこうと心に決めたので一年待った。 そしてようやく。 彼女達との、新しい生活が始まるのだ。 夜の校舎で交わした約束。 いつだって傍にいてやると、俺ははっきり言ったのだから。 「…………よし」 頬を一度叩いて、荷物の入った重いリュックを背負い直した。 "まい"のいる生活。 -1- さて、色々あって現在霜月。 冒頭はあまり気にしないように。ほら、主人公によくある回想パートだから。 アパートでの生活にも慣れ、端から見れば微笑ましいであろう毎日を過ごしている俺達。 日曜日の朝、バイトに出掛ける佐祐理さんにバッグを渡そうとしたら玄関でコケて彼女を押し倒してしまい、出る寸前だった彼女が開けっ放しにしたドアの前をお隣さんがゴミ捨てのために通り過ぎる瞬間その光景を目撃されたり、熱心に料理を作っている舞にちょっかいを出したら、扱っていたフライパンが拍子に吹っ飛び製作中だった野菜炒めが床に無残に散らばって、結果簀巻きにされて押し入れで一晩過ごすことになったり、 …………思い出すのは止めよう。本当に俺は"微笑ましい"毎日を過ごしてるのか? 半ば今までの生活そのものを疑問視し始めたところで、台所から声が響く。 「祐一さーん、ご飯できましたよー」 香ばしい匂いと声につられて行ってみると、小さなテーブルの上には純和食が並んでいた。 朝御飯でここまで作る彼女は凄いというか何というか。 漂ってくる美味しそうな香りを感じて寝惚け 話題はそれほどないが、無言というわけでもない。 今日の予定とか、とりとめのない話をして笑い合うのだ。 こんな時、柄にもなく幸せなんだと思う。 一度夢に見た光景。今は現実の日常。 彼女―――――― "まい"には、感謝せずにはいられなかった。 授業も滞りなく終わり、これもまたいつものように三人並んで帰る。 最初は恥ずかしい気持ちもあったにはあったが、今では手を繋いだり肩を寄せ合ったりと、ずいぶん俺も大胆になったと思う。 「ただいまー」 「ただいま帰りましたー」 「……ただいま」 三者三様の言葉の後、靴を脱いで上がろうとする。 すると、 「おかえりー」 ……どこかで聞いたような、有り得ないはずの迎えの台詞が聞こえた。 はてさて、私は何を考えたんだか、『FROMZERO、100000HIT記念』と銘打ってこんなモノを送っているわけです。 突拍子もないのはいつものことです。私は気にしません、ええ。 しかしまぁ、ずいぶん堂々と送れるようになったものですねぇ、私も。 昔はメールを出すのも躊躇ったのに、進歩といえば進歩です。 前半のヒトリゴトは無視してください。 はじめましての方ははじめまして、神海心一と申します(社交辞令 スタートからどうしようもない内容な感もしますが、全く気にしないでくださると助かります。 軽く説明するならば、舞シナリオ後日談。ありきたりな"まい"がプラスされた話です。 Kanonの中では舞・佐祐理さんコンビが最も好きなんですが、これが私、Kanon自体あまり書いてないんですよね。 よってチャレンジ……こほん、いえ、好きなキャラで書けばきっといいモノができあがるはず。贈り物なんだから、誠意を持って書こうと決意したのです。 題名を考えるのが苦手なので、その辺はあまりツッコまないでください(汗 駄作ですが、読んでくだされば僥倖です。 では、師匠(笑)ことcamelさんへ。 神海でしたー。 |