※注意!
以下、原作とかけ離れたキャラクター、設定等が含まれております!
そういったものに嫌悪感、抵抗感を覚える方は、直ちに引き返すことを推奨します!
お読みになられる場合は上記をよくご理解した上で、お進みください!








































くどふぇす超短編集
〜中身は摩訶不思議アドベンチャー編〜

























1.良い香りと強いうま味を持つ汎用の液体調味料
2.第23回おっぱい会議
3.嫌がる真人に野菜たっぷり沖縄料理弁当を食べさせようとするクドとその様子を傍目から見て色々と妄想する理樹+α
4.大怪獣クドリャフカン
5.Bサイズ69cmの膨ら…み…?




















1.良い香りと強いうま味を持つ汎用の液体調味料


「直枝理樹、醤油取って」
「リキ、醤油取ってもらえますか」
「はいはい」

 昼休み。
 佳奈多、クドリャフカ、理樹の3人は、昼食を摂ることとなった。
 そこに至る経緯については割愛するが。

『あ、あなたと食べても……かまわないわよ?』
『Wahooooo!!! リキ、お昼にしましょー!』
『わっしょい!』

 という会話があったことは記しておく。

「はい、醤油」
「ありがとうございますー」
「直枝理樹、醤油」
「あなたのすぐそばにありますがな」

 テーブルを挟み佳奈多とクドリャフカが並んで座り、その反対に理樹単騎。
 理樹からクドリャフカに手渡された醤油さしが、彼女らの間でちょこんと鎮座していた。

「直枝理樹、醤油取って」
「いや、だからそこにあるって」
「リキ醤油取ってくださーい」
「今渡したじゃん!?」
「直枝理樹、醤油」
「そこにあるって今!」
「リキー、醤油取ってくださーい」
「だから渡したよねっ!?」

 並んでもしゃもしゃとサンドイッチ詰め合わせを食す2人に、反対側に座る理樹が吼える。
 理樹の昼食は焼き魚定食。
 むしろ彼の方が醤油を使いたいくらいだった。

「もう、取ってくれたっていいじゃない。ケチね」
「だから2人の方が近いでしょ!?」
「リキー、醤油ー」
「話聞いてた!? ねぇっ!?」
「早くしなさい、直枝理樹。醤油取って」
「あんたらおかしいよっ!?」

 匙ではなく手に持つ箸を投げたくなる理樹。
 不謹慎だとわかりつつも、ここでナルコレプシーが発症したらいいのにと彼は思わずにはいられなかった。
 最も、彼のそれは既に完治しているのでそんな展開にはなりえるわけがなかったが。

「というか2人ともパンじゃないか! 醤油使わないでしょ!?」
「直枝理樹、醤油取って」
「さっきからそこに置いてあるって! というかパンっ!」
「リキ醤油ー」
「だからそこっ!! そしてパン!!!」
「直枝理樹、醤油取って」
「そこ!!! パン!!!」
「リキ、醤油取ってください」
「パーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
「うるさいわねぇ……静かに出来ないの?」
「あの、リキ……お食事時ですので、もう少し落ち着いた方が」
「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」















 この時をもって塩味とうま味の強い発酵調味料は彼の『敵』となり、彼女らとは相反することとなる。
 3人が共に学食に介すのはこの日が最後となり、以降、激しい争いを繰り返す間柄となる。


 これが後の、『学食したじ戦争』の発端とも言われる一幕であった。









2.第23回おっぱい会議


「……だから、私は思うのです。貧乳好きイコール少数派、奇特というイメージは植え付けられたものだと」

 クドリャフカが、厳かに結論を口にした。
 その口調には並々ならぬ自信が窺える。

「そんなことはない。成熟した女性の体に興味を示すのが一般男性の真っ当な思考、そして嗜好だよ。洗濯板を好む人間なんてマニアックの何物でもない」
「どうしてそれがメディアによって踊らされているという考えに結びつかないのですか!?」
「真理だからさ。何物にも揺るがない、不変の事実だよ」

 対する理樹も、主張を固持し、聞く耳を持とうとはしない。
 普段は仲睦まじい間柄である2人はしかし、この時だけは、頑なに争う姿勢を崩そうとはしなかった。
 自らの信念を、曲げる気はなかったのだ。

「……ならば、今日のこの不当な差別も自然の摂理だと言うのですか、理樹は!」
「その通りさ。そもそも貧乳などというジャンルは日陰にいるべき存在だったはず。それがなまじ話題に上ったからこんな結末になってしまったのさ。今まで通りだったなら、確かにここまで虐げられることはなかったろうけどね」
「……かつては、胸の大きい女性の方がコンプレックスを感じていたのです。無駄に扇情的とされて」
「貧乳よりも興奮するという事実が、その言葉で明白じゃないか。いつの世も、男性の欲望は巨乳に向いていたという証左と言っても過言じゃない」
「小さい胸にだっていいところはあるのです! それを知らず、皆が一方的に弾圧しているだけに過ぎません!」

 徐々にではあるが、クドリャフカが押されている。
 元々クドリャフカの意見は常識を覆す様なものであり、それを通すのは至難の業であろう。
 さらに男性である理樹は、今日のおっぱいへの興味についてはクドリャフカよりも近い視点で見られるために、説得力が高い。
 巨乳に嫉妬する女性の心の叫びにしか、彼には聞こえなかったのだ。

「ならいいじゃない。マイナーはマイナーらしく、その『イイトコロ』とやらを見つけてくれる男性と寄り添えば」
「マイナーと呼ばないでください!!!」
「どうして? じっくり吟味してようやく見えてくる良さしかないんでしょ? ……ま、その『良さ』とやらも怪しいものだけど」
「それでも、無下にされる存在ではないはずなのです! せめて3:7くらいはいけるはずです!」
「い、イヤに現実的な比率だね……」

 たらりと理樹の頬に汗が伝う。
 それ自体少数派を認めた様なものだったが、クドリャフカはそれでも、貧乳の立場回復に専心した。
 それこそが、彼女の願いだったのだ。
 貧乳であっても胸を張って歩ける……彼女は、それだけを願って止まなかったのだ。

『まぁひんぬーわんこは放っておいて』

 ――もう、あんな事は二度と言わせない……!
 彼女の決意は、鋼よりも固かった。

「貧乳が巨乳の上に伸し上ることは無理だと認めます……しかし! 今日の貧乳の肩の狭さは異常です! 巨乳と対等に渡り合えるくらいの立場になってもおかしくないはずなのです!」
「それ3:7じゃ無理でしょ……やっぱり、巨乳が1番。これが結論じゃない?」
「そんなことはありません! 貧乳こそが真に認められるジャンルです!」
「結局そこに戻るわけね……まぁ、いいけど」
「あのー……お前ら、いいか?」
『なに?』

 2人に割って入る1人の男……謙吾。
 近くで会話を盗み聞きしていた彼は、おずおずといった様子で、口を開いた。

「人それぞれ……でいいんじゃないか? 人の好みなど千差万別なのだし」
『…………はぁ』
「な、何故に溜め息っ!?」
「もう、謙吾、こういう議論でその意見はタブーだよ」
「そうですよ。そんな事もわからない宮沢さんは、巫女服を着て古式さんの前に踊り出てください」
「おっ、それいいね。でも僕的にはウェイトレスとかメイドも捨てがたいな」
「何を言っているんですか! 巫女服が1番に決まってます!」
「にゃにおー!」
「わふー!」

 ――もう、勝手にしてくれ……。
 第65回コスプレ会議を開き始めた2人に、謙吾はズキズキと痛む頭を押さえながら、その場を離れたのだった。









3.嫌がる真人に野菜たっぷり沖縄料理弁当を食べさせようとするクドとその様子を傍目から見て色々と妄想する理樹+α


「先日も言いましたが、井ノ原さんには野菜が足りなさ過ぎます。好き嫌いしてたら大きくなれませんっ」
「いや、でもよ……」
「というわけで、今日は私が井ノ原さんのためにお弁当を作ってきましたっ」

 とん、と机の上に置かれる包み。
 小さな手が結び目を解くと、シンプルなデザインながらも彼女らしい、星の模様を散りばめた水色の弁当箱が現れた。
 開けてみてくださいと促され、真人は眉を顰めつつも蓋を持ち上げる。

「………………」
「どうですか、って閉められました!?」

 一瞬だけ中身を見て、蓋は呆気なく戻された。

「何だよこれ、緑色のもんがぎっしり詰まってたぞ……?」
「野菜たっぷり沖縄料理弁当ですから。身体にいいんですよー」
「うえー、沖縄料理って、こないだ言ってたアレだろ? ゴーヤとか」
「はい。これにもしっかり入ってます。にがうりの炒め物ごーやーちゃんぷるーもやしの炒め物まーみなちゃんぷるーヘチマの塩漬けなーべらーすーちかーよもぎの炊き込みご飯ふーちばくふぁじゅしーに、沖縄風ドーナツさーたーあんだぎー……」

 聞き慣れない単語が並べ立てられる度、真人の顔色が悪くなっていく。
 普段野菜を食べない真人にとっては、苦行に等しいラインナップであろう。
 それでもあれだけ成長しているのだから、栄養バランスとやらも、実はそれ程重要視するものではないのかもしれない。

「すまん、遅くなった……って、真人は能美と何をやってるんだ?」
「クドが真人にお弁当を作ってきたんだって」
「ほう……」
「……」

 2人が複雑な面持ちでいると、鈴が理樹の制服の肘の辺りを軽く摘まんで引っ張った。

「きょーすけも来たことだし、はやく食べにいくぞ」
「あ、うん、そうだね。真人とクドもあっちで食べようよ」
「はい、わかりましたっ」

 弁当箱を包み直し、井ノ原さん行きましょうー、なんて背中を押しながら皆の中に混ざるクド。
 そんな2人を、理樹、来ヶ谷、恭介が神妙な顔で見つめていた。

「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……幼妻」
「アリだ」
「うむ、大いにアリだな」

 理樹の一言に、2人がうんうんと頷く。
 何か不穏な気配を察知した鈴が、気取られぬくらいの速さでその場を離脱した。

「少し背伸びして大きめのエプロンを買って着けてみたらやっぱり大きすぎて、『これじゃ使えませんっ!?』とか?」
「立っても裾が床についてしまったりとかか?」
「クドリャフカ君……最高だよ」

 2人の妄想に、来ヶ谷が顔を上気させて息を荒げる。
 そこで恭介が何か気づいた様に、さらに声を潜めながら口を開いた。

「家事には使えなくても、夜のお仕事に……ってのは、どうだ?」
「それ……完璧じゃない?」
「あぁ、恭介氏、最高のプランだ!」
「だろう!? 俺も今の自分の発想は神がかってると思ったんだ!」

 ――割烹着も、アリだな……。
 3人の話を盗み聞きしながら、謙吾は自らの妄想を広げ楽しんでいた。









4.大怪獣クドリャフカン


「葉留佳君、現状は?」
「生徒、職員共に校門の外に避難したよ! でも、家庭科部部室近辺は未だに解析不明な障壁のせいで進入できない!」
「……だそうだが。どうする、恭介氏?」

 横で沈黙を続ける恭介に、唯湖は愉快げに細めた目を向ける。
 両手を組んで口元を覆いながら、恭介はぼそりと口を開いた。

「能美は、胸が貧しいというコンプレックスを爆発させ、今に至っている……とすれば、救出方法は」
「そのコンプレックスを緩和させるか、強行突破かの二択、か……」

 何とも言えぬ雰囲気を醸し出しながら、2人は目前のモニターへと視線を流す。
 本来なら何の変哲もない建物……家庭科部部室が見えるはずのそこは、半円状の桃色の光が広がっていた。
 光からは相当の暴風が吹き荒れているらしく、近場の木々が激しく揺さぶられ、今にも折れそうである。

「……建物の中にいたほうが安全ではないか?」
「敷地内にある建物に避難した場合、光と接触する可能性がある……暴風は凌げるが、もしもの時に身動きが取れないだろうな」
「なるほどな……」

 謎の光が発生して、半時。
 それは未だ収まることはなく、直径20m、高さ10m程の大きさを保ちながら、家庭科部部室を飲み込んでいる。
 怪我人は幸運にも1人。

「真人は?」
「衝撃による軽い脳震盪だけで、もうぴんぴんしてるよ。軽く10mは吹っ飛ばされたというのに、大した身体の持ち主だ」

 その時偶々近くにいた真人は、事件の瞬間を知る、唯一の重要参考人だった。
 今彼らが持っている情報も真人の証言により得た情報であり、光の中心部……すなわち、家庭科部部室にクドリャフカがいるのかは、未だ確認が取れていない状況であった。
 しかしながら、それでもリトルバスターズのメンバーは、件の真相を瞬間的に察知していた。

『クー公が……ひんぬー、ひんぬーって……』

 この一言だけで、彼らは言外せずとも、互いに何が起きているのかを理解したのだった。

「しかし、いつまでもこうはしてられないぞ、恭介氏……どうする?」
「さて、どうしたもんか……」

 困った様に顎を擦りながら虚空を見上げたその時、恭介の携帯が小刻みに震える。
 サブディスプレイに、『着信中 直枝理樹』という無機質な文字が浮かび上がっていた。

「……もしもし?」
『恭介!? 早く指示を出してよ! クドがっ、クドがっ!』
「落ち着け理樹……お前は最後の切り札だ、大人しく待機していろ」
『どうしてっ!? 打つ手ないんでしょ!? だったら行かせてよっ!?』
「お前だと、徒に能美を刺激する危険性がある……我慢しろ」
『ぐっ……』
「わかってくれたか? なら、素直に俺の言うことを――』
『ごめん恭介……僕はもう、我慢できない!!!』
「理樹? ……おい、理樹っ!』

 声を荒げる恭介の耳には、既に電話が切れた事を知らせる電子音しか入ってこなかった
 それを横で黙って聞いていた唯湖は、またも面白いものを見たと言わんばかりに頬を緩めていた。

「中々に勇壮だな、少年」
「ったく、どうなっても知らないぞ、俺は」
「……そんなに、勝算は低いのか?」
「理樹次第だな……」

 一転して眉を顰めながらの来ヶ谷の問いにそう答えながら、ポケットに携帯をしまう。
 先ほどの慌てようは既になく、むしろこれから起こる展開を楽しもうかという様な笑みさえ携えていた。
 未だ変化を見せない光にその笑みを向けながら、ぽつりと、彼は言った。

「理樹が心の底から、貧乳を愛することが出来ればな……」

 この町の命運は、1人の男に託されたのだった。








5.Bサイズ69cmの膨ら…み…?


 ――何か、変なものを見た気がする。
 教室に足を踏み入れた理樹の脳内は、一瞬にしてその違和感で埋め尽くされた。
 ――朝ごはん、変な物でも入ってたのかな……?
 一種の幻覚症状が現れる様な食物、異物を摂取したのであれば、今しがた視認した光景も納得できなくはない……現実を受け入れる事が出来ない理樹は、まず真っ先に食堂のおばちゃんを疑った。
 だが、今朝の朝食は至ってスタンダードなラインナップ。
 白米、味噌汁、漬物、そして焼き魚。
 至って普通に、そして美味しく頂いたはずのそれに、何か不備があるとは思えない……理樹はその懸念を捨てた。
 無味無臭の毒物の線も捨て切れなかったが、少なくともここでそれを延々と思料することは得策ではないと、理樹の頭は判断した。

「リキ、おはようです!」
「あ、あぁ……おはよう、クド」

 変なもの……クドリャフカが近づいてきた。
 小動物的にちょこちょこと走り寄ってきたクドリャフカと、戸惑い気味の挨拶を交わす。
 ――やっぱり、おかしい……。
 目の前に広がる光景に、理樹はその"非現実性"を改めて認識した。
 彼の知っている能美クドリャフカは、高校2年――年齢的には理樹の1つ下だが――とは思えぬ小柄な体の持ち主で、クラスのマスコット的な存在。
 背も小さければ手も、そして足も小さく、胸も貧しい……もう、色々な面で『ちっさい』と言わざるを得ない少女なはずだったのだ。
 それが今はどうだ。
 彼女の制服が、遊びの無さを主張するかの様に、生地を目一杯に押し広げている。
 そして、そんな制服を苦しめている隆起。
 足が地を踏むごとにぷるるんと震える、豊かな双丘。

「おいーっす、クー公」
「能美、おはよう」
「クド、おはよう」
「はいっ、井ノ原さん、宮沢さん、鈴さん、おはようございますっ!」

 ――ば、バインバインじゃないか…っ!
 飛び跳ねるクドリャフカ……のとある部位に、理樹は視線を釘付けにされる。
 もはや、夢とか幻覚とかそんな悠長な構えではいられなくなった。
 わずか2メートルにも満たない至近距離に、その神々しき果実が、瑞々しい動きと共に降臨せしめている。
 ――で、でっかくなっちゃった…!






 能美クドリャフカ、一夜にしてまさかの増胸であった。






 生粋のツッコミストである理樹は、その異変を何よりも優先的に、そして大々的に声に出そうとした……が、寸でのところでそれを留める。
『クド、そのおっぱい外せるよねっ? 貸せるよねっ!?』というツッコミを喉下で待機させながら、じっくりと周りを眺め回した。

「クーちゃん、今日の英語の小テスト、大丈夫そう?」
「勉強はしてきましたが……自信はありません」
「なにぃっ!? 今日テストがあるのかっ!? 何で言ってくんねぇんだよっ!?」
「昨日あたしらが勉強している横で、お前筋トレしてたじゃないか。凄く邪魔くさかった」

 どうしようもないくらい、普通の会話であった。
 リトルバスターズだけでなく、クラス中がいつも通りの朝を過ごしている。
 理樹が感じた異変が、さも当然の事実であるかの様に、クラスメイトは動いていた。
 ――皆、気づいていないのか……?
 視点をその2つの恵みに絶えず合わせつつ、理樹は自分の身に起こっている不可思議な状況を顧みながら、潜心する。
 自分だけが気づいているのか、はたまた皆それに気づいていて何も語らないのか……一刻も早く確認を取りたい理樹であったが、それをするのは些か憚れた。
 こんな大勢の前で『クドのおっぱい、変じゃない……?』などとのたまった日には、変態の烙印を押されてしまうだろう。
 皆がそれをおかしいと感じていないとなれば、なおさら。
 声を潜めて相談するにも、親愛なるリトルバスターズの女性メンバーはまず除外。
 となると真人か謙吾の二択だが、真人はいつどこでぼろを出すかわかったものじゃない。
 最悪、鸚鵡返しで『クー公のおっぱいがおかしい?』と、でかでかとした声で喋る危険性がある。
 ということで真人も外すと、最終的には謙吾が残るわけだが。
 本来ならば生真面目な謙吾が最も信頼のおける人物なはずだというのに、理樹はそれでも1つの懸念事項を考慮せざるを得なかった。
 それは、ある種病気とも言える……突如現れる、馬鹿謙吾だった。
 真人とは違ったベクトルとはいえ、阿呆には変わりない。
 せっかくのロマンティック大統領という名誉も、馬鹿が乗り移ってしまえば何の価値もない。
 謙吾に相談するということは、埋まっているのかわからない地雷原の中を突っ切っていく様なものだ。
 結局、あらゆる可能性を念慮するならば、理樹は誰にも打ち明ける事は出来なかったのだ。

「リキ、どうかしたんですか?」
「……いや、何でもないよ」

 リトルバスターズの絆は深い。
 幼馴染の5人だけではなく、それぞれがメンバーの事をよく理解していた。
 些細な変化も見逃さぬ程に。
 押し隠していたはずの理樹の葛藤を察する事は、そんな彼らにとっては容易以外の何物でもなかった。
 最も、理樹は理解してほしくはなかっただろうが。
 
「顔色が優れんな……理樹、具合でも悪いのか?」
「ふむ、お姉さんが付きっきりで看病でもしてあげよう。添い寝つきで」
「いや、至って健康だから気にしないでいいよ……」

 ――むしろ君らがおかしいんじゃないか。
 クドリャフカの胸に何ら疑問を感じないメンバーに、理樹は心の中で毒づいた。
 その、ツッコミとは到底呼べぬやんわりとした拒否を受け、来ヶ谷は軽く眉を顰める。
『待っていた反応とは違う』……そういった雰囲気が、表情から如実に感じられた。

「理樹もオレと同じでテストが不安なんだろ? へへっ、さすがルームメイトだな、一心同体ってやつだ」
「いや昨日勉強したし。それに小テストだから、そんなにまずい点数は取らない自信はあるよ……」
「なにぃっ!? 理樹、お前いつの間に勉強なんてしてたんだよっ!? オレも誘えよっ!?」
「さっきからうっさいっ!」
「うぼぁーっ!!!」

 鈴の鞭の様にしなった脚が真人の側頭部を捉え、なぎ倒す様に床へ叩きつける。
 ズズゥン……という地響きと共に、真人はそのでかい図体を地に転がした。
 ――……あれ? 何普通に会話してるんだろ。
 あれ程異な物として感じていた周りの空気に、自分が徐々にではあるが馴染んできているということを理樹は察知した。
 おかしいと意気地になっていたはずなのに、気づけば皆の会話の中に入っている。
 厳重に待機させていたツッコミも、知らぬ内に散会していた。

 それは一瞬の出来事。
 けれど確実に、理樹は自らが今まで抱えていた異変を瞬間的に忘れていたのだ。
 ――違う、本当におかしいんだ……クドのおっぱいがあんなに大きいわけがないんだ……。
 孤立感からか、抱く違和感への自信が、わずかに揺らぎ始める。
 言い聞かせる様に頭を振って不安を消し去ろうとするも、ウスバカゲロウの幼虫に捕捉された小動物の様に、ゆっくりと、日常という名の蟻地獄に理樹は埋没しようとしていた。

「本当に大丈夫ですか? リキ」

 椅子に座っている理樹の顔を、クドリャフカが覗き込む。
 そんなわずかな動作だというのに、そのはちきれんばかりの乳房は存在を自己主張するかの様に、理樹の目の前でたわわに揺れた。

「ほ、本当に何でもないよ……」

 外そうとしながらも欲望に打ち勝つ事は出来ず、理樹はその見事な隆起に目を奪われる。
 唯湖にも劣らない……いや、もしかしたらそれ以上かもしれない乳房を前に、理樹は男としての本能を猛々しく呼び覚まされ、あらゆる思考を削り落とされようとしていた。
 ――あぁ、今このおっぱいに飛び込めたら、どれだけ幸せだろうか。
 それが例えニセモノだろうと。
 シリコンだのパッドだのというまがい物であったとしても。
 能美クドリャフカのまさかの豊乳であろうとも。
 理樹は今、確実に目の前に見える若々しい弾力を持っているであろう2つの肉丘に、欲望器官を刺激されていたのだ。
 ――もう、これが本物でいいや……うん、きっとそれでいいんだ。





























「なぁ、理樹の目がやばいぞ……?」
「うむ、でも面白そうだからもう少し続行しよう」
「……まぁ、恭介から昼まではバラすなと言われているしな」







  了




 後書き

 知っている方もいらっしゃるでしょうが、改めまして。
 SSの様なものを書いている、marlholloという者です。

 さて、今回小ネタ乱発でお茶を濁しましたが……いかがだったでしょうか?
 これら5つは全てクドフェスに向けて書いていたネタの名残というか、放置していたもので、


「あかん、どれも10kb超えない……」
        ↓
 開催事項『一発ネタでも問題ありません』&神海心一様のクド詰め
        ↓
「あぁそうか……俺も全部詰めればいいんだ」


 ということでこの様に相成った、というわけですね。
 如何せん途中までは1本きちんと書こうと思っていた物ばかりですので、投げやり&説明不足なものばかりなのは申し訳ないという他ないです、はい……。
 ですがまぁ、軽いノリなものばかりなので、気軽にさくっと読んでいただける様な、おやつ感覚で見ていただければ幸いです。

 ちなみに。
 1つ目は以前日向の虎様がチャットで『佳奈多とクドにずっと『醤油取ってー』と言わせる話にすればいいじゃないか』という発言をお聞きして。
 3つ目はお分かりの通り、神海心一様のクド詰めから設定、一部文章を拝借させていただきました(許可受諾済み)。
 後、2つ目に関しては、あくまで理樹の発言はつるぺた、(21)に向けての発言ですので、その辺はご了承いただければと(クドの発言はその限りではない)。
 4つ目はクド一言も喋ってませんが、物語の主役としては話に出ているので、その辺りは流してくださると幸いです。


 それでは皆様、クドフェス、楽しんでまいりましょう!


『どれも等しくおっぱいさ』



ばっくとぅいんでっくす、なのですっ


専用掲示板にじゃんぷですー