折角の休日、一昨日のうちにデートしようと約束したはいいけれど、ぴっちりと閉めた窓の向こうでは、かなり強い勢いで雨が地面を叩いている。昨日の夕方に食堂のテレビで見た天気予報通り、台風の影響で朝から一日中降り続くらしい。気分まで滅入りそうな空模様が視界に入り、僕は起きてすぐ外の様子を確認した時と同じ、重い溜め息を吐いた。
 ちょっと遠出をする予定だったけど、この天気じゃ傘を差してもずぶ濡れになると思う。来ヶ谷さんと相談をするまでもなく、お出かけは中止だ。そう結論付けるとさらに気持ちが深く沈み、仕方ないから明日の予習でもしておこうかと机に座ったところで、ベッドの枕の横に置いてあった携帯が震えた。ディスプレイに表示された名前は、来ヶ谷さん。
 心臓が小さく跳ねるのを自覚しながら、間違えないよう通話ボタンを押して携帯を耳に当てる。

「おはよう理樹君。起きたばかりか?」
「ううん。もう朝ごはんも食べたよ。来ヶ谷さんは?」
「私も朝食は済ませた。それでだ、今日のデートは――」
「わかってる。これじゃあ無理だよね」
「うむ。誠に遺憾だが、わざわざ風邪を引きに外出するような趣味はないからな」

 九月の終わりくらいになると、風も結構冷たい。クラスの中にも季節の変わり目で体調を崩してる人が何人かいて、ここ最近教室の椅子が埋まり切らない日々が続いている。夏ならできた無茶も、今は苦行になるだけだろう。

「デートしたかったけど、仕方ないよね……」
「楽しみにしていたのは私も同じだよ。しかし、過ぎたことを悔やんでも面白くはならない」

 一瞬、微かな笑みの声が聞こえて、僕は薄く口元を緩ませている来ヶ谷さんを想像した。

「だから、今日はインドアでのデートと行こうじゃないか」
「……インドア?」
「そうだな……お昼前にでもしようか。理樹君、こっちに来るといい」
「こっちって、来ヶ谷さんの部屋?」
「他にどこがある」
「う、そりゃそうだけど」
「何だ、理樹君は嫌なのか? ここは『ヒャッホウこれで公然と彼女の部屋に入って好き放題できるぜ』と喜ぶところだろう」
「そんな風には喜ばないよっ」
「ならどんな風に喜ぶのか、おねーさんに包み隠さず話してくれ」
「いや、その……もう。お昼前に行けばいいんだよね? 切るよ?」
「はっはっは、待っているよ」

 危うく答えそうになり、少し不満げな色を込めて告げる。
 対する来ヶ谷さんは余裕を崩さず、また後で、と言い残して電話を切った。耳元で繰り返される単調な電子音に、僕は苦笑して腕を下ろす。さっきまで胸の奥に溜まっていた暗い気持ちは、いつの間にか消えていた。
 女子寮の旧館一階に位置する来ヶ谷さんの部屋。前に一度行ったことがあるけど、それ以来踏み入ってはいない。

「……いいのかな」

 あっちから誘ってきたとはいえ、足を運ぼうとしてるのは女の子の部屋だ。しかもルームメイトがいない個室だから、何というか、色々と考えてしまう。特に他意はないだろう、来ヶ谷さんのからかいの言葉をふと思い出して、すごく恥ずかしくなった。
 それからの時間、いつもより遅く目覚めた真人と話していても、どうにも落ち着かなかった。










 来ヶ谷さんは良くも悪くも顔が知れている人で、校内のお騒がせ集団リトルバスターズの一員である僕のこともまた知っている人は多い。なので僕達が付き合い始めたという噂は、どこからともなく広がった。一緒にいる時間があからさまに増えれば周りが怪しむのも当然だと思うけど、時折生温かい、あるいは嫉妬混じりの視線を向けられることがあって、その度僕は反応に困る。今回も例に漏れず、女子寮の玄関で見張りの子に何故か「頑張ってね」と微笑みかけられた。
 こっちを見る目にからかいの色が含まれているのがわかり、心の中で嘆息する。というか、一応僕も男なんだけどそんなすんなり侵入を許していいんだろうか。
 ……そういえば、小毬さんは「理樹君だからみんな大丈夫だと思ってるんだよ」なんて言ってたっけ。

「僕、もしかして男に見られてないのかな……」

 呟いて、自分でヘコむ。本当にそんな気がしてきた。
 廊下を歩いてても普通に挨拶されるし、誰も僕がいるのを変に感じてない。
 まあ、でも、来ヶ谷さんに会う上では、都合の良いことなのかもしれない。本来は門前払いなんだから。
 そう前向きに考えながら床を踏みしめ、目的の部屋の前に辿り着く。人の行き来も落ち着いて、聞こえるのは僅かな外の雨音だけだった。忘れていた緊張感と恥ずかしさがぶり返してきて、伸ばした右手が少し震える。軽く握り拳を作り、中指の骨でノック。こん、こん、と固い音が響き、すぐに室内から来ヶ谷さんの声が返ってきた。
 閉ざされていた扉が開く。僕の姿を認めた来ヶ谷さんは、いいタイミングだ、と頬を緩めた。
 部屋に入るのは、これで二度目。記憶に残る光景とほとんど変わらず、物があまりない。ぎっしり詰まった本棚と、そこに収まり切らなかったらしい本の山が積まれている勉強机。シンプルな形状の目覚まし時計とベッド。洋服箪笥。雨空を隠すようにカーテンは閉められている。それと、漂ういい匂い。
 その出所は、小さなテーブルに並べられたふたつのお皿に盛られた、湯気を上げるご飯からだ。

「理樹君はまだ昼を済ませてないだろう?」
「あ、うん」
「食堂を借りて、キムチチャーハンを作ってみた。温かいうちに食べよう。ちゃんとスプーンも用意してある」

 赤というよりは橙に近い色に染まったお米とキムチ。見るからに辛そうな、けれどすごくおいしそうな出来に、僕は空腹なのを自覚した。洗面所で手を洗わせてもらい、いったいどこで調達してきたのかわからないテーブルを挟み向かい合って、二人食卓に手を合わせる。
 傍らに水を置き、スプーンで掬って一口。熱さで思わず涙目になるも、休まずまた手が動くくらいにはおいしかった。
 綺麗に全部平らげて、ごちそうさまと告げる。来ヶ谷さんは満足げに頷き、僅かに遅れてお皿を片付けた。
 ちょっと前までは料理ができなかったらしいのに、短い期間でもうこんなに上達している。それは来ヶ谷さんの才能の賜物なのかもしれないけど、相応の努力をしてるのも確かで、自惚れでなければ、僕のために頑張ってくれたから、嬉しい。

「食器は僕が返しに行くよ」
「いや、私に任せて理樹君はここで待っているといい」

 今日は尽くしたい気分なんだ、なんて言われたら、例え冗談だとしても逆らえない。
 来ヶ谷さんが戻ってくるまでの間、僕は一気に跳ね上がった心臓を落ち着かせるのに必死だった。
 それからは、静かな時間を過ごした。他愛ない会話をして、何とはなしに触れ合って、ただ一緒にいるだけで心が穏やかになるような。お腹が膨れたからか、そのうち眠くなりうつらうつらしたところまでは覚えている。気付けばふっと意識が途切れ、次に覚醒した時――僕はしばし混乱した。鼻先に、来ヶ谷さんの顔がある。
 驚きで息が詰まり、反射的に距離を置こうと頭を動かしかけた瞬間、電光石火の速さで伸びてきた腕が、僕の頭をがっちりホールドする。見れば目前の来ヶ谷さんは目を開けていて、意地の悪い笑みを浮かべていた。

「恋人の顔を見て逃げようとするとは、いい神経をしているなキミは」
「こ、この状況は普通びっくりするって!」
「何だ、折角おねーさんが添い寝をしてやったというのに。こういう場合はもっと色々あるものだろう」
「色々って言われ、ても……」

 来ヶ谷さんが喋る度、吐息が鼻に掛かる。少し乾いたその唇をちろりと出てきた赤い舌が濡らす。微かに揺れる睫毛、全く恥ずかしくないわけじゃないのかほんのりと色付いた頬、おそらくはシャンプーの淡い匂い。全てが僕の心を無闇に高鳴らせる。喉から飛び出してしまいそうな激しい鼓動に急かされるように、すっと身を寄せた。唇から目が離せない。頭を押さえていたはずの来ヶ谷さんの腕は、いつの間にか僕の首に絡みついている。触れるまでの一秒半は、やけに長く感じた。

「ん……フフ、キミの身体は正直だな」

 誘惑に負けてしまった身としては反論できない。
 あからさまなからかいの言葉に、視線を逸らすことで答えるのを避けようとするも、それを来ヶ谷さんは許してくれなかった。指がうなじをなぞる。くすぐったさと微妙な快感に思わず声が漏れ、びくりとこちらの腰が浮いたのを目敏く見つけ、空いていたもう片方の腕が滑り込んできた。首と腰を抱えられ、僕と来ヶ谷さんは一人用のベッドの上で密着する。
 半ば無理矢理柔らかな胸に顔を押し付けられて、来ヶ谷さんの心臓の音を聞く。落ち着いてるとは到底言えない、早いテンポ。どきどきし過ぎて眩暈がした。息苦しさも忘れ、力を抜いて身を委ねる。
 理樹君、と僕を呼ぶ、大好きな人の声色は、優しかった。

「私は今、キミのことをとても愛しく感じているよ」
「……うん。僕も」
「不思議だ。人並みの恋ができるなんて思ってなかったのに、こんなにも理樹君を好きになっている自分がいる。こんなにも幸せで、満たされている自分がいる」

 そう口にする来ヶ谷さんの表情は窺えないけど、この場合、わからなくてもいいんだろう。
 僕らは同じ気持ちで相手を想う。一緒にどきどきして、幸せになって、満たされる。
 きっとそれは、悪いことじゃない。だって、少なくとも僕は、こうしてるのが本当に嬉しいから。
 だから、

「理樹君。私と、えっちなことをしよう」

 ――そういう雰囲気になったのも、自然な成り行きなのかもしれなかった。










 僕を抱きしめる両の腕がするりと解け、横になった姿勢のまま、互いの顔を見つめ合う。
 最初はこっちから。啄ばむように幾度もキスをし、徐々に口付けの時間を長くしていく。一瞬が数秒に、数秒が十数秒に、十数秒が数十秒に、数十秒が一分超に。触れるだけでもそこは熱く、こぼれた息はどこか甘く、思考がぼやけ始める。
 来ヶ谷さんの唇の柔らかさをもっと感じていたくて、隙間にそっと舌を捻じ込んだ。嫌がられないかとも思ったけど、抵抗なく迎え入れられる。無味というにはちょっと苦い、唾液の味。口内に溜まるそれを掻き混ぜながら、一心不乱に絡める。
 これまで、深くキスしたことはほとんどない。だから僕も、勿論来ヶ谷さんも、具体的にどうするのがいいのかはわからなかった。拙さ故に、口端からは大量の唾が溢れて落ちる。すぐシーツがべたべたになって、粘ついた冷たさが頬に伝わった。でも、構わない。頭が痺れて、他のことは何も考えられない。

「ちゅぷ……少し、息苦しいな」
「やめる?」
「まさか」

 短く会話をして、再開。無意識のうちに僕の手は来ヶ谷さんの、来ヶ谷さんの手は僕の腰にまた回っていた。今度は唇ごと食むように貪る。舌を差し入れることにも遠慮がなくなり、シーツを濡らす唾液の量はますます増していく。
 キスだけでもう、心臓は破裂しそうだった。淫らな水音とシンクロした鼓動が、身体中に響く。どくん、どくん。

「んふ、れる……ちゅ、っはぁ。そろそろ次へ行こうか」

 離れた唇の間を繋ぐ白い糸のアーチが、切れる前にシーツへ落ちるのを眺める。
 と、腰にあった来ヶ谷さんの手が僕のズボンに伸びた。疑問に思うより早く、鮮やかな手際でベルトが引き抜かれ、止める余裕もなくホックが外され、チャックを下ろされる。中途半端に剥かれたズボンの下、トランクスの前面にある異様な膨らみが、この状況に対する僕の興奮の度合いを如実に表していた。
 通り抜ける空気の涼しさに、ほんの少し心は静まって、代わりに羞恥心が湧き出てくる。けれど今更引けないし、来ヶ谷さんが許してくれるはずもなかった。隠すことさえ叶わず、硬くそそり立つ剛直が完全に晒される。
 耳に入る、囁きにも似た来ヶ谷さんの微笑。それは、嬉しそうな、楽しそうな、そしてぞっとするほど艶やかな笑みだった。

「恥ずかしがることはない。どうせ最後には全部脱ぐだろう?」
「そ、そうだけど、身も蓋もないというか……」
「それとも、キミは先に私を裸にしたかったか?」
「……ちょっと、自分で脱がせたいなぁ、とは」
「なら楽しみは後に取っておくといい。まだしばらくは、私のターンだ」

 脈打つ肉棒を、細い指が優しく掴む。微妙な温度差に僕が呻くと、来ヶ谷さんは僅かにこっちを窺う様子を見せ、躊躇いがちに手を動かし始めた。女の子らしいたおやかな五指から与えられる刺激に、下半身が疼く。痛くはない。物足りない、もどかしい感じも多少はするけど、気持ち良さの方が強くて、声は抑え切れなかった。
 時間の経過と共に慣れてきたのか、責めが的確になってきた。僕の反応に合わせ、全体を擦るような動きから、雁首の辺りを重点的にくりくりと弄るものへと変わる。
 ギリギリのラインを弁えた絶妙な力加減。……情けないことに、早くも限界が近かった。
 奥底から、重たい熱がせり上がってくる。

「うぁ、く、来ヶ谷さん、もう……!」
「おっと、出すには早いぞ理樹君」

 猛りを吐き出す直前、ぎゅっと根元を握られた。栓をされて詰まった精が、ゆっくりと戻っていく。散々いたぶられて結局達せられなかった僕は、どうして、と不満を口にしそうになったけれど、反り返りの部分を撫でられてそれどころじゃなくなる。あの、迸りかけた射精感の名残が消えず、そこに心臓がもう一個できたみたいだった。
 額に脂汗が浮かぶ。上半身を起こした来ヶ谷さんは、雄茎に触れていた手を自分の胸元まで運び、シャツのボタンをひとつずつ外し始めた。見せつけるように指が服を弾く度、これまで覆われていた柔肌が目に入る。うっすらと汗ばみ、ほんのり赤くなっていて、来ヶ谷さんもこの状況に興奮して、緊張してるんだと知った。
 腕がシャツの袖から抜かれる。ぱさりと乾いた音を立てて衣服が落ち、惜しげもなく来ヶ谷さんは裸体の半分を晒す。細身だからこそ余計に目立つその双丘に、案の定僕の視線は釘付けになった。
 大きさに、圧倒される。服越しに飽きるくらい見てきたはずの膨らみは、僕が想像していたよりも遙かに強烈で、衝撃的な魔力を秘めていた。たぶん、鷲掴みしても掌には収らないだろう。
 呆然とそれを見つめる僕の様子に、まるで恥じらうことなく来ヶ谷さんは相貌を崩す。
 獲物を痛めつける時の獣めいた――でも、確かな愛しさを含んだ表情。

「何分私も慣れていないからな、それは勘弁してほしい」
「な……なにを、するつもりなの……?」
「今日は尽くしたい気分なんだ、と言っただろう」

 ――答えになってないよ。
 そう告げるだけの時間も与えてはもらえなかった。
 うつ伏せに姿勢を変えた来ヶ谷さんが、仰向けに寝かされた僕の股間、丁度剛直の位置に胸を乗せる。そして、躊躇いなくそれを谷間へと導いた。挟み込まれる逸物。ふたつの肉に押し潰され、じっとしてるだけでも伝わってくる温かさと柔らかさに、たちまち疼きが復活する。どうしよう、これは本当に、洒落にならない……!

「っふ、ん、ん……どうだ、気持ち、いいか?」
「う、うん……っ」

 問われても頷くので精一杯だった。刺激自体は弱い、甘やかなものだけど、持続的な圧迫感が堪らない。首を持ち上げると、自在に歪み、形を変化させる両の胸が僕のグロテスクな肉棒を嬲っているのがわかった。その光景がまた興奮を高めて、一度は奥に引っ込んだ精液を呼び戻そうとする。
 一方的にされてるのが情けなくて、せめてもの抵抗として歯を食い縛りながら耐えようとはしているけれど、正直に言えばかなり不利だ。体重を掛けられた足は動かせず、気を抜いた途端意識が真っ白になりそうな現状では、身体を起こすことさえ儘ならない。それでも何とか手を伸ばそうとベッドのシーツを手繰り寄せているところで、今までとは全く別の刺激が亀頭に加わった。ぴちゃり、と水音が聞こえる。敏感な鈴口に感じる、少しざらついた舌の感触。
 来ヶ谷さんが、僕のペニスをちろちろと舐めていた。

「む、理樹君、先走りは苦いな」
「わざわざ言わないでよそんなことっ、くぁっ!?」

 ストレート過ぎる報告に抗議しようとすると、赤い舌先が尿道口を抉る。僅かな痛みも快楽に変換され、僕の意思とは関係なく腰がぶるりと震えた。掛かる吐息はやっぱり熱い。肉棒に視線を注ぐ来ヶ谷さんの瞳が濡れているのに気付き、若干の不安、そして確かな期待が心の奥で揺れる。もう、抗う気は全くなかった。
 胸の圧迫はそのまま、亀頭にキスが降る。同時、口の中で溜められていた唾液が流れ落ちて、陰茎全体を淫靡に湿らせていく。触れた箇所がべっとり濡れるのも構わず、唾を潤滑剤代わりに、再び双丘が動き始めた。にちゃにちゃと粘ついた音を発しながら、俯いた来ヶ谷さんの顎下でペニスは踊る。

「れろ……れろ、ちゅっ、んん、ふぅ……ぷちゅ、ちゅ、じゅる……」

 先端から滲み出ていた先走りの汁を綺麗に舐め取り、時折唾液を継ぎ足しつつ続けられる一方的な奉仕。
 僕がくぐもった声を漏らす度、来ヶ谷さんは上目遣いにこっちを窺ってくる。一見熱中しているように思えるけれど、与えられる刺激には波があった。ギリギリまで追い詰められてはお預けを食らう、その繰り返し。
 ……出したい。早く、今すぐに解放されたい。段々それしか考えられなくなる。
 でも、どうにか僕がなけなしの理性を保っていたのは、有り体に言えば、意地があるからだった。

「うぁ、す、ストップ来ヶ谷さん、まずい、もう限界だよ……!」
「なら遠慮なく吐き出すといい。……ただし、あまり大きな声だと、隣に気付かれるかもしれないぞ」

 一瞬で、背筋が凍った。
 そのタイミングをずっと待っていたかのように、僕の下半身に来ヶ谷さんの体重が掛かり、両手で胸ごと持ち上げた逸物の先端を、すぼめた舌が蹂躙した。堤防が決壊する。込み上げる衝動を抑える間もなく、反射的に離れた来ヶ谷さんの顔や垂れ下がった黒髪、竿を固定する柔らかな膨らみの上を噴出した大量の精液が汚す。幾度か痙攣にも似た跳ね方をし、射精はようやく終わった。
 白濁と一緒に興奮の熱が逃げていったみたいで、酷い脱力感に襲われた僕は、恐る恐る来ヶ谷さんを見る。さすがにちょっと呆然としていたけど、すぐ気を持ち直して、あろうことか胸元に飛び散ったそれを指でひと掬い、口に入れた。驚く僕を尻目に軽く眉を顰め、

「まあおいしくはないか。だが、飲めないことはない」
「……って、来ヶ谷さん、いったい何を、」
「見ての通りだ」
「わかってるよ、わかってるけどさ……」
「こういうのは飲んであげた方が男は喜ぶらしいからな、私も試してみたのだが……理樹君は好きじゃないのか?」

 上目遣いでそう問われると、それが狙ってやってることだとわかっていても、つい正直に認めてしまう。
 とはいえ無理してまで飲んでほしくはないし、来ヶ谷さんにもその気はなかったらしく、都合良く近くに置いてあったティッシュで丁寧に拭き取った。……もしかして、こうなるのを見越して用意してたんじゃないだろうか。雰囲気に流される形で始めたことのはずなのに、来ヶ谷さんが相手だとそれすら計算尽くなのかもしれないと思えるから怖い。
 何枚も重ねたティッシュをうつ伏せのまま丸めてゴミ箱に放り(見事に入った)、両手を付いて来ヶ谷さんは上半身を四十五度ほど起こす。色々吐き出して心なしか萎びたモノが、支えを失ってくたりと倒れた。部屋の明かりを遮り、僕に覆い被さるようなその姿は、肌に浮いた汗もあってすごく艶かしい。
 視線は胸から臍へ下り、ゆっくり上って影を纏った顔に。おそらくは意図して作られた無表情に見つめられ、僕はそっと口の中に溜まった唾を飲み込んだ。ここから先どうするのか、互いに理解していながら、動かずにいる。
 だから僕は、訊いた。今更言うまでもないことを確認するために。

「大丈夫? 怖く、ない?」
「理樹君。本気で言っているのなら、後で説教タイムだぞ」
「あ……ごめん。何かさ、ちょっと耐えられなくて」
「そんな悪い子にはおしおき……と行きたいところだが、まあ今回は許そう。それに、気遣ってくれたのは素直に嬉しい」
「うん。できるだけ、優しくしたいから」
「フフ、そうか。だが心配は無用だよ。この程度で怯えるようなら最初の段階で拒絶しているし、キミを散々焦らしていじめるのは楽しかった。何より、今止められても私の方が我慢できない」

 おもむろに手首を握られる。引っ張られ押し当てられた左胸から、火照りと高鳴りが伝わってきた。

「ふぅ……っ、触られるだけでも、ゾクゾクするな。どうだ理樹君、揉んでみたいか?」
「そりゃあ……って何言わせるんだよっ」
「正直に答えたら許可しよう。嘘を吐いたら今日はもう絶対に触らせない」

 迷った。
 迷ってしまった。
 そんな僕の心を見透かすような瞳に屈するまで、五秒も掛からなかった。

「……来ヶ谷さんのおっぱいを、揉んでみたいです」
「よくできた。では、好きにするといい」

 その言葉に思わず心臓が跳ねる。僕は触れたままの右手を、そっと動かした。
 力を込めると五指が抵抗なく沈み込む。掌に収まらない大きさ。自分の身体のどことも比べ物にならない柔らかさに、脳が痺れる。うわ、と声が漏れた。頭を抱えられて、不可抗力というか強制的に顔を埋めたことは何度かあったけど、そういう状況で感じた柔らかさとは一線を画している。いつまでもこうしてたい。中毒性があると言ってもいいくらい、来ヶ谷さんの胸には抗い難い魅力が秘められていた。
 片手で持ち上げ、来ヶ谷さんの胸板に押し付けて潰す。こっちが肩の力を抜けば、重力に引かれてすぐ元の形に戻る。無造作に五本の指をくねらせて揉むと、鼻に掛かった甘い声が聞こえた。初めておもちゃを手に入れた子供みたいに僕は手を這わせ続ける。そのうち物足りなくなって、空いていた左手も使い始めた。
 反応を見ながら丹念に揉みしだく。左右から中心に向かって押し潰したり、搾るようにしてみたり、乳首を指で弾いたり。来ヶ谷さんは何をしても嫌がらず、僕に身を委ねてくれていた。信頼されてる証。それが嬉しくて、もっと気持ち良くさせたいと思う。喜ばせたいと思う。
 少し、調子に乗ってみることにした。身体を下にズラし、自分の頭を来ヶ谷さんの胸の辺りに持っていく。こっちの動きに疑問を抱かれるより早く、だいぶ尖った乳首に唇を寄せた。口に含み、強く吸う。反応は劇的だった。

「ひゃうっ! 待て理樹く、あ、あぁ……」

 制止の声が出かかったけど無視。赤ちゃんみたいだと苦笑しながら、息が続く限り唇をすぼめる。舌で転がし、先端を押し込み、僅かな窪みを執拗に舐めて、来ヶ谷さんが身を捩るのにも構わず、存分に堪能した。
 たっぷりねぶって離れると、充血してべとべとになったそこが見える。僕達の間で細い銀糸がぷつりと切れた。身体を支えるだけの力が抜けたのか、来ヶ谷さんの上半身がしなだれかかってくる。
 そのまま抱き留めて、触れた胸に感じる自分の唾液のべとつきも忘れ、しばらく静かに目を閉じた。

 響く鼓動。徐々に穏やかさを取り戻していく呼吸。
 預かった重みは気にならない。女の子らしく、来ヶ谷さんは、軽い。
 下半身の昂りも、今は恥ずかしくなかった。

「……舐めていいとまでは言わなかったはずだが」
「いや、あんまりにも……その、すごかったから、つい」
「なら不問にしてあげよう。キミも男の子だということがよくわかったしな」

 視界いっぱいに来ヶ谷さんの顔。
 すぐ届くところにあったから、キスをする。ただ、互いの熱を、気持ちを通じ合わせるための、優しいキス。

「こういうのも、慣れてきたと思わないか?」
「そうだね。何も知らなかった頃より、ずっと」

 言葉の裏にある緊張を、ゆっくり溶かす。
 いつも格好良くて強くて可愛い、そんな無敵の来ヶ谷さんだって、これからやろうとしていることは不安なのかもしれない。恥ずかしくて、怖いのかもしれない。きっと僕は気持ちいいだけだから、その痛みを共有することはできないだろう。
 それでもしたいというのは、わがままだ。わがままだけど、来ヶ谷さんは、全部受け止めてくれる。
 でなきゃ僕らはこうしてない。不安の裏には期待があって、恐れの裏には好奇心があって、痛みの裏には喜びがある。
 僕だけじゃない、来ヶ谷さんも同じ気持ちだと、そう信じても、思っても、いいはずだ。
 もう訊かない。代わりに覚悟を決める。

「来ヶ谷さん」
「理樹君は、このままでいてくれ」

 僕のお腹に座った来ヶ谷さんが、スカートの留め具を外す。脱がせられないのはちょっと残念だけど、贅沢は言わない。それは次の機会に、と考えて、またやる気満々な自分に苦笑した。
 両足が揃えて上げられ、衣擦れの音と共にパンツも下腹部から遠ざかる。露わになる、来ヶ谷さんのそこ。男なら肉棒がある箇所には、周りを覆う毛と、割れ目というのが一番近いだろう入口があった。鮮烈な光景から、目が離せない。時折ひくひくと震え、際限なく液体を溢れさせている。
 湿ってる、どころじゃない。明らかにそこは濡れていた。僕が先走りの汁を滲ませるのと同じように、たぶん、興奮して。

「んっ……そんなに見つめるな……」
「だって、来ヶ谷さん、すごい濡れてる」
「別におかしくはないだろう。キミがギンギンに勃起させているのと大して変わらん」
「うん。わかってる、わかってるけど、でも――」

 ――綺麗だ。
 冗談でも何でもなく、僕は心からそう思った。

「む……は、恥ずかしい、恥ずかしい……んだが、理樹君に言われると、嬉しい。……ああ、そうか、幸せなのか、私は」
「じゃあ僕と一緒だ。今、幸せ過ぎてどうにかなっちゃいそうだから」
「なるほど。うむ、悪くはないな」

 腰が浮く。片手で掴み固定した逸物に、もう片方の手指で開かれた秘裂が下りて接触する。
 殊更敏感な先端に伝わる、粘ついた蜜と柔肉の熱さ。まだほんの少し入っただけなのに、快感で理性が焼き切れそうになる。歯噛みして耐える僕を一瞥し、来ヶ谷さんは一度止めた進行を再開した。
 着実に、肉棒が収まっていく。ずぶり、ずぶりと沈み、飲み込まれ、けれど途中で何かに突っ掛かった。

「処女膜だ」
「だからわざわざ言わなくていいって……」
「理樹君を恥ずかしがらせるためなら何でもするぞ、私は」
「そんな決心は要らないよっ」

 というか、何でもって。
 つい変な想像をしてしまい、慌てて振り払った。
 意地の悪い笑みは見なかったことにして、立てた膝を小刻みに震わせる来ヶ谷さんの手を取り、指を絡める。

「おねーさんが膜を破った時に痛い思いをしないか、なんて心配なら無用だぞ」
「それだけじゃないよ。色々……色々、不安がらせちゃってるかなって」
「まさか、と言いたいところだが……隠し事は良くないな。全くないと言えば嘘になる」
「僕も。でもこうしてるとすごく安心するんだ。……気休め、かな?」
「いや、このままでいてくれ。何というか、こういうのはとても、恋人同士らしい」

 無言で頷く。それが合図。あとは、一瞬だった。
 重力に任せてすとんと落ち、薄い抵抗も内壁を擦る感覚も全部突き抜ける。短く鋭い、悲鳴とも嬌声ともつかない声を発して、来ヶ谷さんは汗を飛ばした。落ち着くまで待つ。
 不思議な感慨が心を満たしていて、僕もしばらく動く気にはなれなかった。
 呆気なく、ではないけれど、ひとつになれた。繋がった。胸の奥がじぃんとする。

「ん……っ、ふ、これは……今までにない、感じだな……」
「平気?」
「思ったよりも、痛くはないよ。充分、濡れてるからだろう」

 持続的に分泌されては流れ出る愛液に、血の赤が混ざっていた。結合部をピンク色の液体が湿らせ、潤滑剤の役割を果たしている。確かに、これくらいなら動いても大丈夫そうだ。一応嘘がないかどうか、来ヶ谷さんの表情を窺う。

「……動きたいか?」
「え、あ、その」

 いきなり問われ、そんな物欲しそうな顔をしてたかと思う。

「何となくそう見えただけだ。顔には出てないから安心するといい」
「来ヶ谷さんに見抜かれてるんだから、安心できるわけないよ……」
「私以外にわかる者がいてたまるか。こんな理樹君を他人に知られるのは勿体無い。うむ、恋人の特権という奴だな」
「……うう」
「フフ、最近負け続けだったが、やはりキミを恥ずかしがらせるのはいい気分だ、ぁんっ!」

 泣き寝入りは癪なので、来ヶ谷さんの奥へと突く。可愛らしい声を上げ、腰がびくりと跳ねた。
 一瞬抗議の視線を向け、それから来ヶ谷さんも反撃に移る。おそらくはまだ残っている痛みを封殺し、肉襞で剛直を僕の理性ごと削り取ろうとしてくる。吸い付くようなその感覚に、こっちも声が抑えられなくなった。
 頭のどこかで隣室のことを考え、お互い叫びに近くなるのをどうにか喉で留める。逆に腰の動きはどんどん激しさを増し、濁った卑猥な水音が響き始めた。ずちゅ、ぶちゅ、とモノの根元で愛液が泡立つ。弾んで揺れる胸、薄紅色に火照った肌、全身をしっとりと湿らせる汗、女の子の匂い、気持ち良さで蕩けた表情、絡みついてくる熱い肉、全てが僕の目の前にある。
 好きで、大好きで、愛しくて仕方ない。僕の突き上げを受け止め、来ヶ谷さんの膣が引き下がる肉棒を離すまいと締めつける。挿入と抽出の繰り返し。何度も、何十度も、僕達は繋がって、ひとつになって、満たされる。
 時間の感覚さえなくなった中、耐え続けてきたものがギリギリのところまで来ているのを知る。限界が近い。身を持ち上げるだけの力も残ってないのか、来ヶ谷さんはほとんど腰を落としたままだった。僕が勢い良く突き入れるのに合わせて、切れ切れの声が聞こえる。それでも、繋いだ手は解けない。

「あ、は、んんっ、ひっ、り、りきく、ん!」
「もう、僕、我慢できない……!」
「んふぅっ、ん、はっ、あ、ああ、来る、来るといい、あっ、あっあっあっ」
「くあっ、出る、っ!」

 根元に詰まった熱い塊が、尿道を走った。
 猛烈な射精感に、急いで引き抜こうとする。けれど、最後の最後で締め付けが強くなった。乗っかられてることもあり、僅かに遅れる。間に合わない。ずるりと蜜を纏った逸物が外に逃げるより早く、鈴口から濃い白濁が噴き出した。
 大量のそれが入口をびちゃびちゃに叩いて汚す。僕はその淫靡な光景をぽかんと眺めていた。

「ん……ふぅ、二回目だというのに、随分出たな」
「く、来ヶ谷さん、何であそこで!」
「別に中でも構わなかったんだがな。今日は安全日だし、万全を期してきた」
「あの、もしかしなくても、最初っからそのつもりだった?」
「是非の判断はキミに任せるよ」
「……はぁ。全くもう」

 僕は仰向け、来ヶ谷さんは僕に跨り足を開いた恰好で、笑う。
 気だるさと疲れが全身に圧し掛かっていたけれど、お互いすごい姿だけど、今だけは、気にならなかった。










 飛び散った精液をティッシュで拭い、愛液とか汗とかで駄目になったベッドのシーツをこっそり来ヶ谷さんが洗濯しに行って戻ってきたところで、僕は立ち上がりカーテンを開いた。
 ぴっちり閉めて鍵まで掛けた窓からは、外の音も聞こえない。ただ、昼前に比べると雨は緩くなっていて、この調子なら明日までには止みそうだと思った。来ヶ谷さんも僕の隣に並び、二人で少し窓の向こうを見つめる。

「理樹君」
「ん?」
「雨の日は憂鬱になる、と以前話したことがあったな」
「うん」
「今まで、雨が降っていて良かったと思うことはなかった。だが――今日初めて、雨で良かったと感じたよ」
「……そっか」

 何だかくすぐったくて、ぶっきらぼうに返事をする。
 嬉しかった。だってそれはきっと、僕といる時間そのものを好きだと言ってくれてるようなものだろうから。

「たまにはこんな日も、悪くない?」
「うむ。毎日では胸焼けしてしまいそうだがね。いや、お腹もいっぱいになるか」
「あのさ、ナチュラルにそういうこと言うのやめようよ……」
「自慢じゃないが、私からセクハラを取ったら生きていけないぞ」
「本当に自慢にならないね……」
「セクハラついでに問おう。理樹君は、人間の性行為が何故ああいうものなのか、考えたことはあるか?」
「え?」

 からかうような声の裏にひとかけら、真剣な色が含まれていると気付き、真面目に考えてみる。

「うーん……生物的に一番適してるから、とか?」
「なら他にもっと優れた進化があるだろう。いちいち子宮に精液を流し込んで受精するのを待つより、確実で安全な産み方をするものはいくらでもいる。なのに人間はそんな面倒な手順を経て、何度も交わらなければ子を宿せない」
「確かに、そう言われると不思議だね」
「ということは、だ。行為そのものに何らかの意味がある、と考えられる気がするのだよ。人間の祖先が四本足で歩いていた頃ならまだしも、今の私達は子を作る行為に、特別な何かを見出している。例えば、さっき私と理樹君がしたように」
「つまり、えっと、ひとつになることに?」
「そう。現実には決してなれないのに、私達はひとつになれる。繋がることができる。私の隙間をキミが埋め、キミを私が包み込む。……満たし、満たされるためにするものだとは、思えないか?」

 欠けた器を補うように。
 器に水を注ぐように。
 不完全なもの同士が、不完全なまま、それでも一緒になろうとする。

「何か、ちょっとロマンティックだよね」
「……我ながら似合わないことを言ってるのは自覚している」
「ううん。そんなことない。そんなこと、ないよ」

 来ヶ谷さんの想いを僕が馬鹿にするなんて、有り得ない。
 僕にとってもそれは真実だ。ちょっとくらいロマンティックでも、いいと思う。

「雨の日は、また、しよっか」
「いや」

 しとしとと降り続く、薄暗い景色を横目に、静かなキスをする。
 満たし、満たされるためにするもの。そうして感じる気持ちを、たぶん――



「次は、晴れていても決行だ」



 ――愛しい、と言うんだろう。










 あとがき

 一日3KB前後のペースで書いてたのが、日曜で一気に進みました。最後まで書き切る気が続いたのは久しぶりかも。
 既にエクスタシーをプレイし終え、姉御のえちぃシーンがどういうものかは知っちゃってますが、折角プロットも組んだので頑張った結果がこれです。前回までの四作と同じ、現実世界での後日談。教室で告白してからまあ一ヶ月近くが経った、雨の日のおはなしになります。
 姉御と言えばエロス、エロスと言えば姉御ということで、ちょっと色々張り切りました。お前初体験でこれはありなのかと思わなくもありませんけど、本編がアレだったしいいですよね。基本的に姉御ガン攻め。でも段々勢いなくなっていく感じ。最初で主導権握ってるのは、自分が攻めて積極的にやってる間は恥ずかしくないからです。騎乗位のところまではどうにか保ってますけど、やっぱり最後は押され負ける。それが姉御クオリティ。
 今回、行為中の台詞の量を、意図的に減らしてます。色々な人と話したり、過去作品を振り返ったりして、どういう表現が一番いいのか、わからなくなってきちゃいまして。そもそも、一応これは一人称で書いてますが、表現がかなり大仰なんですよね。少なくとも口語として見るのは厳しい。その辺も含め、いい加減模索するべきじゃないかと思ってます。私は決して上手くないんですよ。そう読み手に錯覚させてるだけなのです。
 姉御シナリオの鍵は、愛を知ること。愛というか、他者に対する感情、でしょうか。以前REIさんが『ハートを欲したブリキロボット』と来ヶ谷さんを形容してましたが、きっと彼女は知らなかっただけで、気付きさえすればすぐにでも人間になれるのだと思います。満たされて愛を知り、いつしか相手を満たしたいと考えるようになる。満たし、満たされるためにすること。愛しさを以って繋がること。そういうテーマでした。
 タイトルは『処女はお姉さまに恋してる』のED。榊原ゆいさんです。優しいメロディと同じく優しい歌詞がすごく好き。
 これもチャットの皆さんに一度チェックしていただきました。その時いたみんな、感謝です。せんきゅー!
 鈴は書かないかも。書くとしても、たぶん『はじめて』にはならないです。本編のアレで割と満足しちゃってるので。
 そうそう、今回は敢えて「唯湖さん」と言わせてません。付き合うのにもだいぶ慣れた二人。こういうのもいいですよね。



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何かあったらどーぞ。



めーるふぉーむ


感想などあればよろしくお願いしますー。


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